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「どうぶつの森」新作から見るグラフィックの変化

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2020年3月20日に、家庭用としては8年ぶりの新作である「あつまれ どうぶつの森」がNintendo Switch向けに発売された。既にプレイされた方も多いとは思うが、今回は単純にゲームを批評するのではなく、グラフィック面に焦点を当てて前作からの変更点を見ていこうと思う。

 

携帯用ハードの変革が生み出した高画質

Nintendo Switchは、言ってしまえば携帯ゲーム機である。それこそ前作「とびだせ どうぶつの森」のハード、Nintendo 3DS と分類的には同じモノであるのだ。

任天堂は基本的に自社製品の詳細スペックを明かしていないが、一説によればその頭脳(CPU)にNvidiaTegra X1をベースとしたカスタムチップを搭載しているとされる。3DSについても詳細に明かされているわけではないので厳密な比較はできないが、単純なクロック数比較においても桁外れの性能を持つ。

Switchは3DSと、短命に終わった据置ハード、Wii Uの長所を併せ持ったハードと言える。Wii U任天堂ハードとして初めてフルHD(1080p)出力に対応した商品であった。Wii Uは据置機であり、Switchは携帯機である。720p/1080p(TVモード時)を出力できる性能が、その小さなスペースに収まっていると考えると、時代の進歩を感じさせられる。

無論、『あつまれ どうぶつの森』においても、フルHD(1920x1080)出力に対応している。3DSの解像度が800x240であったと考えると、単純な画質だけでも向上を果たしているのである。しかし述べたいのは、そこではない。

演出の変化

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『あつまれ どうぶつの森』では、新アイテム「スマホ」が登場するのだが、これを使用することで写真を撮ることができるようになった。

この写真はそのスマホで撮影した写真であるが、近くに写っているスポットライトはボケていて、主人公(被写体)はくっきりと写っている。何を当たり前の話を、と突っ込まれてもしょうがないことを書いているが、これは今までの「どうぶつの森」作品にはなかったことである。

そもそも写真撮影機能がなかったでしょうが、と言われると思う。しかし、以下の写真を見てもらいたい。

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こちらは一見すると、ただ商店に不用品を売りに来たスクショでしかない。しかしよく見ると、主人公やまめきちつぶきちに焦点が合っていて、後ろの売り物や壁はボヤけている。

これは、会話シーンに突入するどの場面でも見られる。つまりは、よりハッキリさせたいところを強調しているのである。

ぶっちゃけて言えば、私は被写界深度(DOF)、つまりピントのことについて述べているにすぎない。しかしこのような「一見すると気づかない何か」が、この作品のディテールを印象付けているのではないか、と思うのである。このような変化は、他にも多数見られる。

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スピンオフ作品とはいえ、実はWii U向けにも「どうぶつの森」ソフトが発売されていた。「どうぶつの森 amiiboフェスティバル」というすごろくパーティーゲームである。

内容はさておき、全体的にモデルの「とびだせ どうぶつの森」との共通点が見られる。シェーディング(影)については据置機であるためかはっきりとキャラクターの陰影が映り込んでいるが、モデルやテクスチャを流用しているからか、今作と見比べると若干「物足りなさ」を感じてしまう。

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たぬきちをよく観察してみる。今作ではより「どうぶつ」らしく、毛並みのようなテクスチャも追加されていて、見ているだけでも柔らかい印象を受ける。明らかに服などの質感とは違う「柔らかさ」だ。目も若干膨らんでいるように見えるのは気のせいなのだろうか。

専門的な話にはなるが、今作ではテクスチャ表現がよりパワーアップしていると推測される。その一つが、いわゆる「ノーマルマップ」というものである。

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ゲームなどで使われる3Dモデルは、「ポリゴン」と呼ばれる多角形面で構成されている。決してポケモンのことではない。

より詳細な表現をする場合にはそれだけポリゴン数が必要となってくるが、ゲームなどで使用するモデルにはそこまでたくさんのポリゴンを割くことができない。そこで、ポリゴンのように陰影のみを反映するテクスチャを細部に使用するとグッと表現の幅が広がる、というわけである。

今作の建物などが、昼や夜の影の当たり方によって、詳細な凹みなども違って見えるのは、この表現技法である。

他にも、木々の葉っぱの質感や、水への光の当たり方など、よく見ると気づかないところまで、今作は作り込まれていると言える。

今回はゲーム進行等に全く触れなかったが、少し暇があれば、このような細かい部分を見てみると、また新しい発見があるかもしれない。